大村グループ研究紹介

大村グループ研究紹介

ゲノム解析による原因遺伝子検索

京都大学 ゲノム医学センターをはじめ、理研、ハーバード大学とも共同研究を行っています

全ゲノム関連解析を用いた関節リウマチの原因遺伝子検索

Okada Y et al., Nature  506: 376, 2014
Okada Y et al., Nature 506: 376, 2014

関節リウマチ(RA)の全ゲノム関連解析(GWAS) を世界中の研究者と共同で行い、新たに42個の原因遺伝子を同定しました。さらに、ゲノム情報を創薬に生かす道筋を示しました。

GWASによるACPA(-)RAの関連遺伝子解析

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Terao C et al., Arthritis Res Ther. 17: 104, 2015

 

RAの約20%を占める抗CCP抗体(ACPA)陰性RAのGWASを主導しました。ACPA(-)RAはHLAとの関連がありませんが、その他の原因遺伝子はACPA(+)RAとほぼオーバーラップしていることを証明しました。

当科ではRAだけではなく、SLEや強皮症、その他の膠原病のGWASも行っており、今後、臨床にも応用をしていく予定です。

 

自己抗体の網羅的解析

愛媛大学 プロテオサイエンスセンターとの共同研究です

抗CCP抗体陰性関節リウマチの自己抗体検索

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抗CCP抗体は関節リウマチ(RA)の特異的な自己抗体ですが、早期RAでの陽性率は60%程度とされ、早期関節炎の診断はしばしば困難を極めます。そこで、抗CCP抗体陰性RAに特異的な自己抗体をスクリーニングを愛媛大学との共同で行っています。上に示したようなAlphaScreen法によって2000以上の蛋白質および翻訳後修飾した蛋白質と反応する自己抗体をスクリーニングしています。

自己抗体産生機序解明

大阪大学免疫学フロンティア研究センター/微生物病研究所と共同研究を行っています

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何故自己抗体が出来てしまうのかという根本的な疑問には誰も答えらません。
それに対する解答になるかもしれないのが、最近大阪大学の荒瀬教授が唱えた上記の理論です。生体内では常にうまく三次元構造をとれない蛋白(ミスフォールド蛋白)が出来ていますが、上手に処理されています。何等かの原因でミスフォールド蛋白が細胞内で処理しきれなくなると、MHCクラスIIがミスフォールド蛋白を細胞表面に提示して抗原特異的B細胞を刺激することがわかっています。
私たちはMPO-ANCAの産生に本経路が関係することを証明しました(Hiwa R, et al. Arthritis Rheumatol 2017;69:2069-80)。今後SLEでの研究、本経路による自己免疫モデルマウス作成などを行っていきます。

~もしかするとすべての自己免疫疾患の原因が解明されるかも~

モデルマウスを用いたRA研究

GWASで見つけた新規遺伝子や興味のある遺伝子改変マウスを用いて、関節リウマチ(RA)における関与や病態生理について研究しています。

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IL-17は多くの自己免疫病での関与が知られています。Th17というTリンパ球から産生されることが有名ですが、私たちはRAモデルマウスを用いて、T細胞だけではなく、好中球から放出されるIL-17も病態において重要な働きをしていることを見つけました(Katayama M et al., PloS One 8: e62231, 2013) 。

他にもmyelin basic protein (MBP)やsuppressor of TCR signaling (STS)-2なども研究しています。

その他の臨床研究

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MFG-E8は死細胞を貪食する時に必要とされる血清中のアダプター分子です。MFG-E8は欠損でも過剰でもSLE様の病態を呈することがマウスで示されています。私たちはSLE患者の40%にMFG-E8が陽性となり、陽性SLEと陰性SLEで病態が異なることを報告しました(Yamamoto et al., Lupus 23: 386, 2014)。